【造る】自作の艇・パーツ紹介
GL-Labo読者のみなさまによる自作のヨット・ボートと周辺装置をご紹介します。
掲載しているヨット・ボート、周辺装置は以下の通りです。艇の種類と工法はさまざま、オリジナルの試作品もあります。今後さらに充実させていきますのでお楽しみに。無断転載をお断りします。
- パワーフィン
- S&G工法による櫓帆走カヌー
- カートップ装置
- A級ディンギー(航空高専)
- フェロセメント艇
- モーターボート#235ランナバウト
- 7.2mカヌー/セーリングモード
- グレイシール(ビルド&レストア)
- CCW工法スループ艇
- 櫓の自作
- Acorn 10feetディンギー(外部リンク)
パワーフィン
艇の前後にパワーフィンを備える「タンデム(英語: tandem) パワーフィン」の操縦の様子と、タンデムパワーフィンの仕組みについて、音声解説付きの動画をご覧ください。
Fliptail+タンデムパワーフィン
Fliptailという折りたたみボート(Tさん自作)の艇の前後にパワーフィンを備えて試みたタンデムパワーフィンの世界初の実験です。
タンデムパワーフィンの実験のいろいろ
Youtubeチャンネル「Atsushi Doi」では、帆走+パワーフィンなど、様々な動画を掲載していますので、ご覧ください。
ところで、パワーフィンの原理は?
パワーフィンの原理、つまり先祖は「櫓(ろ)」であると、GL-Laboは考えます。
櫓を真っ直ぐに水面に立てて左右に振るとパワーフィンと同じ挙動となります。
文章での説明が難しいので、2008年にヤマハ関係者が国際ボートショーに展示したモデルをご覧ください。
上図の右手前のグリップ部を左右に振ると、後部のフィン(上図の左上のブレード部)がクルクルと回転しながら動きます。しかし手元のロープにより回転角が制限されるので、フィン(ブレード)は適当な迎え角を作って、揚力 (ここでは推進力)を発生するのです。
上図のグリーンのロープの引き具合で、速度に応じた迎え角に調節できます。
さらに、赤のロープを引くと、ブレードの向きが入れ替わって、後進ができるようになります! 後進するためには、ブレードが自由に回転できる構造にしなければならないので、これ以上に大型化するのは難しそうです。
以下は、これまでに読者のみなさまが実験・製作されたパワーフィンの数々のご紹介です。
非常に堅牢な構造です、これを13フィート艇のラダー金具の部分に差し込んで使います。
実験者・高橋さんのレポート:「ブレードは幅9cm、浸水長60cmでした。私が出せる力ではこのサイズが丁度良いようです。 ブレード幅を12cmに広げたものは抗力が大きくなるためか、かえって速度が出ませんでした。」
実験者・高橋さんのレポート:「 2人乗りで瞬間最高6.5km/h(GPSによる)が出ました。 艪と違って漕ぐ技術は不要です。実験に参加した3名が似たような速度をだしました。ブレードの浸水長を無段階に簡単に変えられるようにし、浸水長30cmで漕いだときも速度はほとんど変わりませんでした。 その代わり、漕ぐピッチは1.4倍になりました。揚力はブレード速度の2乗に比例するという理論通りの結果でした。」
芝藤さんからのレポートから(抜粋):「操縦棒は手元が1で支点からフィンまでが2の割合で使用しました。1対3の方が良さそうです。 フィンの角度が重要です。操縦棒に直角を0度と定めます。25度では進み始めても加速しない。 船体の前進速度で発生する流れの角度が20度から30度になって揚力が出なくなる。 50度が順調に漕げる。軽い力で漕げるので物足りない。 500kgの和船ではスピードは出ない。フィンの速度は両端でゆっくり、舟の真後ろで速くなる ように漕ぐと良さそう。」
芝藤さんのレポートから(抜粋):
フィンに働く力で操縦棒が捩じられて推進力が逃げるのを抑えようと太い棒を取り付け部の下、 水面近くに持ってきて捩じるレバーを小さくしました。 棒も長くして、軽いシーホッパに取り付けたのですが全然スピードが出なくて お蔵入りしています。
2011年春から、実験開始です。まずは動画をご覧ください
これが船尾のアップ:高橋さんの装置と比べるとかなり華奢ですが、
艇が軽量なので、動画でご覧のように、良く走ります。
装置の詳細:
艇の船尾が尖っている(ダブルエンダー)ので水面上で装置を取り付けるのが困難です。
そこで、この様に跳ね上げ式(ティルト・アップ)にしました。 これにより、取り付けたまま岸辺から出入りできます!
初めての実験としては大成功だと思うのですが、 小境さんには疑問が湧いてきたそうです、つまり往復運動の両端部分は有効な 迎え角が得られていないので、推力を出していないのではないか?両端部分でも迎え角を有効にするには、、、、?
その答えがこれです!
リンク機構を加えて、いつでも進行方向に平行な 線を中心にしてフィン・ブレードが迎え角を取れるようになりました。
この写真は全体が左舷の方向に振られていますが ブレードの付け根は、リンク機構により船体の 首尾線と平行のままです。これによりスピードが更に増すでしょう!?
ところが、実験してみると舵が効かないのだそうです!
どうやら、推力の方向がいつでも首尾線と平行なので、 舟を曲げることができない?落とし穴だった?のではないか...
実験は続きます。
その新たな難問の解決案がこれです!
リンク機構の可動中心を意図的に変更できるように ステアリング・ロッドを付け加えました。
このロッドを後方に押すと、左旋回前方に引くと、右旋回できる筈です
これは中立(直進)状態です。
ここでは ステアリング・ロッドを後方に押しています。 アームは右舷に振れていますが、ブレードの中立点が右方向に 変化しているので、艇を左旋回させようとします。
そのままアームが左舷に振られても、ブレードは 中立点を右方向にしたままですから、引き続き左旋回を続けます。
この装置、一見複雑に見えますが、無駄がなくて 独特のメカ美がありますね。
蒸気機関車の動輪部分の逆転装置を彷彿させます~。成功を祈ります!
いよいよ実験開始です。
この複雑な機構に加えて、ティルトアップ機構まで付いています
リンク機構が付くと複雑になってきて、部品の名前に困ります。 共通の認識が(いずれ?)必要になるかも知れないので、 発案者の小境さんとご相談し、暫定的に部品名を決めました。
1)操作桿(ティラー? ハンドル?)
2)ヒンジ・ブロック
3)アーム
4)フィックスド・スケグ
5)リンクド・スケグ
6)コントロールライン・リード
7)ブレード
8)ブレード・ヨーク
9)ステアリング・ロッド
10)フォア・リンク
11)パンタロッド
12)アフト・リンク
13)コントロール・ライン(見にくいので 番号は省略)
小境さんのテーマであるリンク機構付きと、この長大アームの実験映像は
小境さんが同時並行で実験しているのが、、これ!長大アームのパワーフィンです。
長いアームだと、左右に振れる領域での円運動の曲率が小さくなるので、全域で迎え角が有効に働く、、筈だ。
とても興味あるテーマです。
2011年8月の小境さんの改良パワーフィン
今回のアームは長さ95センチとのことです。以下ご本人からのレポートです。
「再び日本ライン木曽川に出掛けました。アーム長さ95センチと言うのは適当ではないかと思います。フィンのワンサイクルの動きで1.5~2メートルくらい前進してる様に思われます。従い、随分早い流れの中にも(周囲は渦を巻いています)安心して進入できました。
操作桿の長さは75センチ、ブレードは長さ50センチ、幅8センチ、迎え角の範囲は30~40度。」
アームの長さ60センチのことを思うと随分楽に漕ぐ事が出来、推進力も期待以上でした。速度は6キロ毎時以上ではないかと思われます。但し、この大きさになると、各部の強度を大幅に強化が必要の様です。チルトアップ等現構造では不能になっています。
リンクは短いものにし、アームに木ねじで固定してありますから、オリジナルのパワーフィンです。
アームの断面は両側の板の上部内側に板材を接着し溝型を構成し下端には梯子状に木片を接着して捩れ対策しました。
これらの強化策で、ほぼ目的の性能が確保出来たように思います。(高橋さんのアーム長1メートルのものと同等の機能?)
アーム長さは50~60センチでは短く、2メートルでは長すぎて捩れが辛く、ハンドりンングにも難ありです。1メートルくらいが落としどころの様に感じました。
2011 年 10月の 第11回 WBBM in 奥琵琶湖での 小境さんの 長大パワーフィン改良版です。アームの材質をアルミ製(マスト材を流用)に替えてのテスト風景。 ゆっくり漕いでいるようでも速い!
S&G工法による櫓帆走カヌー
GL-Labo 特別企画 日記
「S&G工法で造る・不思議なカヌー」
これまで主にGL工法を扱ってきましたが、S&G工法による特殊なカヌーを紹介します。ここで、不思議というのは「櫓帆走」という新しいジャンルを試してみようとしているからです。
櫓帆走カヌーはこのような姿です。
櫓帆走の動画もみてください。
進水まで「製作期間12日、総作業時間70時間」というS&G工法の特徴ある工程と、完成後の実験の様子などをご覧ください。艇の設計、作業の指導、工房の提供などについて「新世代木艇工房」さんの全面的なご協力に感謝します。
DAY1
7時間
現図の出力と合板の切り出し
現図(原寸の図面)をプリンターで長尺の用紙に直接プリントアウトする。全部で10枚あります。その現図を4mm厚の合板に両面テープで貼り付け線の通りに切り出します。
合板を切り出しています。
ステッチ&グルーの教科書には、最初はジグソーで大まかに切り出して、手ノコで丁寧に仕上げるようにと指示されていると思いますが‥‥この艇は細長くて、切り出しの総延長は80mあります (^_^;)、作業時間の短縮を狙って、電動丸ノコで直接切り出してみました。材料の無駄も少ないし‥なかなか良い結果がでました。ただし、初めての方は真似しないでください。
切り出された合板には、まだ現図が貼り付いていますので、これから両面テープを剥がします。
合板の長さが足りないので、2枚を接続して接着します、単純な繋ぎ「バットジョイント」です。
細長いのでグニャグニャして折れそうでズレやすく、一番困難な作業でした。
ここまでの作業時間:合計7時間
DAY2
14時間
ステッチング作業
前日のエポキシ接着剤が硬化して‥‥この様に細長い外板パネルが5枚完成です。
この写真では船体の構成順に並べてあります。それにしても‥‥細長すぎる~っ!
ここからがステッチ&グルー(S&G)工法の最大の特徴であるステッチングの作業です。
銅の針金を15cm程の長さに切り、パネルの継ぎ目を縫って、船体を組み上げていきます。
この場面は、底板とその隣の板(ビルジ)を簡単に繋いでから、隔壁(バルクヘッド)を当てているところです。
バルクヘッドは中央と前後の3枚を切り出して、底板部分と繋ぎ縫いするように組み上げると‥‥あ~ら不思議!立体構造が出来上がってきます。バルクヘッドには通気口(大きな穴)と排水溝(小穴)を開けておきます。
ここまでの作業時間:合計14時間。
DAY3
DAY4
25時間
ガンネル材の接着
この弱々しい船体の上の、ヘリの部分の内側に角材を接着して補強します(ガンネル材と言います)。
ここでは多数のクランプ(万力)が活躍します。
ガンネル材の接着剤の硬化を待つ間に、パネルの接合部の内側からエポキシパテを充填し、さらにその上にガラステープをエポキシ樹脂で接着していきます。
画像で見ると、継ぎ目が濡れているように見えます。これが「ステッチ&グルー」の「グルー」作業で、、アメリカ人は「ステッチ&テープ」とも呼んでいます。
船首と船尾部分の尖った箇所は、様々な力が集中する部分なので、この様に3角形のブレストフックと呼ばれる
補強材を接着して補強します。
ここまでの作業時間:合計25時間
DAY5
32時間
針金の切り取り
この日は船体の内側を塗装し、外側に飛び出している針金を切り取りました、結構大変な作業です (^^;)
ここまでの作業時間:合計32時間
DAY6
DAY7
DAY8
50時間
デッキ合板の貼り付け
デッキを3枚に分けて貼ります。
合板は4mm厚なので、貼り付けにはステップラー(ホチキス)が便利です。 ただし後で引き抜きやすくするためにボール紙の小片を置いてからホチキスを打ちます。
デッキの接着剤が硬化する間に、次の作業を行います。船体パネル外側の隙間をエポキシパテで埋めるのですが、この部分は人目に触れるところなので丁寧な準備が必要。
隙間だけにパテが詰まるようにマスキングテープを貼って船体の汚れを防止します。
船体内側では必要のない作業ですね (^_^;)
そして隙間にエポキシパテを充填し、パテが硬化する前にマスキングテープを剥がします。
するとかんな感じになります、作業6日目の内側の写真と比べると出来上がりの違いがはっきり解ります。
ここまでの作業時間:合計50時間
DAY9
DAY10
DAY11
64時間
全体塗装
これまで部分的に塗装してありますが、今日は全体塗装です。
ここまでの作業時間:合計64時間
第13日目:テスト進水
朝からカヌーを海辺に運んで、初めての水上テスト。
まずは座ってAD-Scullを漕いでみます。バランスも、スピード感も上々です \(^o^)/
バランスは船体の側面の喫水マークで確認します。スピードはGPSで測定、速度のデータは条件が複雑なので別の機会に整理して発表したいです。
次は「立ち漕ぎ」です、それもAD-Scull独特の「両手漕ぎ」を試しました。
この両手漕ぎは「AD-Scull」がどれほど容易かを示すためのデモンステレーション的な漕ぎであり、本当は両手で1本を持って強く漕いだ方が速いのです (^_^) このテストでは少し船首が上がり気味で、漕ぎ手の位置を少し前方に移す必要があることが判りました。
この日、テストの第一段階を終わりましたが、これからもテストを続けます。
前回のテストで、櫓漕ぎにはアウトリガーのアームを前方に移動する必要がありそうだと判断して、アームを取り付けるビーム材を約30センチ前方に増設しました。色白の無塗装のビームが追加された部分です。新ビームは後方の古いビームより短いことにご注意。さらに帆走にも対応するために、9mm厚のマリン合板を切り出しダガーボードを造りました。
帆走の為の艤装準備中です。マストを立てる位置は、中心からズレています (^_^;)
アウトリガー・カヌーは左右対称ではないのでこれで良い?と思います、デッキの中央は強度が足りないと言うのが本当の理由ですが。マストステップはベストの位置の確認前なので、両面テープで貼り付けています(まだ変わる可能性が)。
マストを左右から支えるサイドステーの付け根をご覧ください、これで前の写真でビームの長さが違っていた理由が判ります。
初めての帆走テストは、WBBM in 愛知でやりました。ご覧のように静かな水面を、風もないのに走ります!
これが「AD-スカル」独特の「櫓帆走」なのです。櫓は動かさなければ舵としての働きをするのです、もちろん左右に動かすと推進力を発生します、だから風が吹いても吹かなくても「櫓帆走」は可能です。後方の艇は「新世代木艇工房」のパワーフィン艇です。これも「櫓帆走」の親戚です (^_^)
そのうちに風が吹いてきました \(^o^)/
このように軽快に帆走します!櫓(AD-スカル)は完全に舵になりきっています。このカヌーは細長くてスマートなので、船首波が出ないので、写真ではスピード感がイマイチですが‥‥右舷から風を受けるとアウトリガー・フロートを持ち上げて(片足で)スリリングな帆走も可能です (^-^)v
前の写真でご覧のように、セイリングするにはちょっと頭上が窮屈なので、、マストの全長を伸ばしてみようと思い立ちました。
延長するにも重心位置が高くならないように工夫しようと延長部分を骨抜きにしました。
さてどうなるでしょう (^_^;)?
この様に快適にセイリングできる様になりました。しかし、、今度はマストの強度に不安が (^_^;)
この後、マストを補強して、長さを多少縮めようと思っています。セイリングにはしばらく向かない季節になりましたので2010年の春以降にレポートをアップします。
セイリング・カヌーの櫓帆走は真冬には遠慮したいところですが、「櫓漕ぎ」は1年中がシーズンです。「立ち漕ぎ」で船首が上がり気味なのが問題でしたが、漕ぎ位置を約20センチ前方に移動してみました。静止状態では良い感じですが、スピードが出ると写真のように、まだ船首が上がり気味です。
漕ぎ位置をさらに15センチ程前方に移動しました。カヌーの姿勢はベストです \(^o^)/
しかし今度はADースカルの櫓腕が体に接触するようになり、漕ぎにくくなってしまいました (^_^;)
さて、どうしたら良いものか、、??? 今後の検討課題ですねぇ (^^;)
この画像は、ちょっと解りにくいですが、、「後進漕ぎ」をしているところです。
櫓漕ぎは(一般的に)後進できないのですが、、ADースカルは櫓受け部分がオールロックなので、上下をひっくり返すことができます。そしてそのまま普通に(伝統櫓的に)漕ぐと後進できます (@_@;!
この櫓漕ぎカヌーではこれまで、画像でお分かりのように櫓受けの金具はかなり水面近くに位置していました。それはビームの高さから来る構造上の制限でした。
しかしこの位置では櫓のブレードの大部分が水中に位置することになります。 ブレードが推力を発生するのは先端部の50%程度であることが実験で明らかになりました(別の機会に発表予定です)ので、このたび櫓受け金具の位置を30センチ程度上げてみました。これで有効な部分だけが推力を発生してくれて、無駄な部分は水面上で大人しくしていてくれる筈です。
これにより、全体の配置が変更になりますが、、櫓漕ぎは楽になり、速度もやや上がり、とりわけ操舵性が向上しました。
櫓帆走の場合はデッキに座るので、櫓受けの位置が高くなると、ちょっと漕ぎにくいです。ラダーとして利用するにも操作性にやや難があります。しかし、すぐに慣れてしましました σ(^_^) この辺りの調整が今後の課題と思われます。
このカヌーはやはり左舷方向の安定性(復元力)がやや不足です。安心して櫓帆走するためにご覧のような「セイフティ・フロート」を追加しました。
セイフティ・フロートを造る (2011.10,04)
この艇のようなマルチハル、特にアウトリガー艇では、フロートが浮き上がるとロール復元力が急速に無くなり厄介なので、補助車輪のようなセイフティー・フロートを取る付けられるようにしました。2.5mm 厚の合板を使い、スティッチ&グルー工法で組み立てました。
容量は15リッターですから、全没すると15Kgの浮力が得られるはずです。
底面を見る。底板は2枚のように見えますが、実は1枚で出来ています。塗装が終わったところです。
水抜きの穴を開けました。空気の漏れを確かめるにも役立ちます (^-^)v
この動画では、別のセイフティ・フロートで帆走しています。
それでも強風時の櫓帆走には安心できません (^^;)
それで、ご覧のようなスポンソン(張り出しフロート)を左の舷側に追加してみました。
スポンソンを作る (2011.10.04)
横方向の復元力をさらに安定させるために、艇体の左側にスポンソン(張り出し)を付けてみることにしました。
艇体の側面にピッタリ沿わせるために、まずモールドを作って、その上に最初の合板を固定し、それに外側の合板を曲げ付けます。
そして底板を貼ります。今回は約50Kg の浮力が目標です。
補強のための隔壁を追加します。隔壁には換気用の穴を設けます。
デッキを貼るために、シアー部分を補強します。 デッキ合板の合わせ目にも下地材を準備します。
メインハルにスポンソンを取り付けた状態、ちょっと不格好ですが、安全第一です。
カートップ(車載)装置
カヌーなどの小型艇以外は単身でカートップするのが困難と考えられ勝ちですが、ここで紹介する方法で少しずつ持ち上げれば簡単に可能となります。要点は2本のレールの間隔です。間隔が狭いほど軽く持ち上げられますが、不安定になるので、見極めが重要です。私見ですがレールの間隔はボートの全長の1/3程度が適当です。
後方からの映像:ここではボートを適度な位置まで持ち上げてから、レールを水平まで回転させると(全体の重心が支点を超えるので),支えなくてもそのまま安定することが解ります。 その位置は実験で簡単に求められます。
親亀(マイカー)の上に子亀(ボート)と孫亀(ドーリー)を載せれば、全国どこにでも遠征できる。フェリーに1台分の料金で乗れるかな?
写真とイラストをご覧になればお分かりと思いますが、原理と構造は簡単です。
材料にちょっとした工夫が必要です。ポイントは「あおりゴム」という緩衝ゴム製品を利用したイボイボにあります。
この装置を作った名古屋のKさんの例でもう少し詳しく見てみましょう。
市販のカートップ材料にボルトとワッシャーを追加
スライドアームに切った溝をボルトに掛ける
‥‥と、こういう具合になります!
この美しい艇は「シーメイド」、13フィートのスループ艇でCCW工法で造られています。
上の画像の丸いボール状の物体の正体!
中にはサッカーボール(でなくても良いですが‥‥)が入っていて、砂地などでの移動にとても便利です。
この装置についての詳しい説明は、 ヨット雑誌「KAZI」誌1994年11月号に掲載されています。
ご注意:この装置には知的所有権が存在します。業者の方の無断製造販売は違法です。 ビルダーが非営利目的でこのアイデアをご利用になるのは自由ですが、事故損害などの責任は負いません。
航空高専卒業記念航海 A級ディンギー
航空高専卒業記念航海 2008年3月31日掲載
東京都立航空高専卒業記念航海までの全行程をご紹介します。
卒業研究テーマは「A級ディンギー」
2008年2月2日、東京都の荒川区南千住の隅田川河畔から都立航空高専(荒川キャンパス)から 品川区の都立高専(品川キャンパス)脇の京浜運河まで、全行程18.5Kmを機帆走したA級ディンギー があった。それは、東京都立航空高専学生が製作したヨットの卒業記念の航海の勇姿であった。
A級ディンギーヨットの製作
ヨットってどうやって造るの?
そんな素朴な疑問から、このプロジェクトは始まった! まず模型を作って、ヨットの概要と構造を理解しようと こんな1/5の立体模型に取り組みました。 まず艇体の各部の断面図を立体的に並べてみる。 これまで見たことのない、立体感が美しい。
この立体感を、どうしたらヨットになるの?
そこで、艇体表面を8等分に縦割りにしてみたら。 いっそう船らしくなってきた! このスジスジ(ストリンガー)の上に1枚ずつ薄板を 貼り付けていくと、鎧張りの船体が出来上がりました。 これって「クリンカー構造」と言うのだ。造りた~い!
クリンカー・ボートの製作に詳しい、千葉県松戸市の 「糸川ボート研究所」に弟子入りすることになった。
ヨットの製作をスタート
このボートは18世紀に実際に造られていたのと同じ構造で、作り方もまったく同じなのだ!
名前を「A級ディンギー」と言うのだそうだ。模型では上下反転して板を貼ったが、この時代には正立組み立てだったのだ。 キールの上に型板(モールド)を並べてから、ラワンの板を片側12枚貼り付けるのだ。
夏休みは泊まり込み同然の作業となった。これは、外板を張り終わって内側に肋骨(フレーム)を当てて、外側から銅リベットを打ち込み、リベットの内側頭をハンマーで叩いて、潰しているところ。”リベッティング”という作業なのだ。
リベッティングの船尾を作業を見てください。
まず外板同士をリベットで繋ぎ、さらに肋骨を等間隔に曲げ付けて、リベットで締め付けます。
肋骨はケヤキの角材を何時間も釜で蒸したもので、素手で触れないくらい熱いです (^^;)。
外側ではリベットをしっかり押さえ、内側からハンマーで叩いて頭を潰します(チャンチャンと言うらしい)。
ヨットが完成
今回のプロジェクトは「ヨットを造る」だけではない!
完成したヨットで、荒川キャンパスから品川キャンパスまで、卒業航海をするんだ(大丈夫?(^^;))。
完成しただけでは喜んでいられないが‥完成は嬉しい。
まずは荒川キャンパスの屋上プールで進水式だ!
プールの深さが十分で、センターボードを降ろすことができたので、テストセイリングにも成功!
いよいよ隅田川、東京港航海の準備開始だ。
地図(海図)で調べてみると、全行程は18.5Kmと解った(10海里と言うんだって!(1海里=1852m))。
その間に橋が15もあることも判った。
最大の橋はレインボーブリッジ、これは大型帆船でも通り抜けられるが、途中には橋桁高さが3mくらいの橋
も‥‥A級ディンギーのマストは3.6mある!!通り抜けることが出来ない~~っ (^^;)
そこで、マストを1m程短くして、手漕ぎと電動船外機を併用して、橋の下を通り抜けることにする (^^)v
そして、航海へ
画像のように、ちょっとマストが短いですがその分帆を縮めて(リーフ)機帆走しました。
えっ!船外機をA級ディンギー(長さ3.6m)に付けると小型船舶操縦士免許と船検が必要ですってっ (@_@;!
何でもチャレンジするぞ~~っ!
卒業航海の直前に船検を取得 \(^o^)/
晴れて、電動船外機と機帆走による卒業記念航海を無事に終えることができました。
皆さまの応援、ありがとうございました m(_ _)m
Iさんの自作新艇シーメイド 東京湾の稲毛ハーバー沖を滑る
Iさんの自作新艇 2005年11月15日 掲載
「KAZI」誌2005年11月号で紹介のビルダーIさんの自作新艇「シーメイド」特別取材
「シーメイド」は横山 晃 氏設計の CCW(カナディアン・カヌー)工法の14フィート艇
手前;ステム(船首材)近辺、長い材が船首になる。後方:トランサム(船尾材)のフレーム
上図のトランサムフレームを半分に切って接着、左右対称の美しいトランサムが完成
モールドの上にステム、トランサム、キールを並べる
前後方向に縦通材を取り付け、モールドを完成する。
出来上がったモールド上に、フレームを曲げ付ける。このフレームから外側が船体(ハル)となる。
フレーム上にCCW工法の特徴である台形に削ったストリップをプランクしていく。中央部は天井からの支柱で押さえつけながら接着している。
ハルが完成して、モールドアウトしたところ
完成艇を上から眺める
運搬、保管を考えて、マストはこのようなジョイントで繋がれている。ステンレス板とスプルース材の精度の高い工作が求められる箇所で、ビルダーの意気込みが感じられる。
こちらはIさんの”別艇”スパロー2
フェロセメント・カヌー
Ac-Gorillaさんのフェロセメント・カヌー 2004年01月13日 掲載
「GL-Labo」初の快挙!オンライン指南によりフェロセメント・カヌーを完成
宮城県在住のAc-Gorillaさんから嬉しいレポートが届きました。
「GL-Labo」の掲示板への投書がきっかけで、フェロセメント艇の権威SOL-LAさんとの文通が始まり、ついに4.2メートル・カヌーが完成したのです、おめでとうございます!このページでは、Ac-gorilla さんから送っていただいた画像を掲載します。(詳しい建造記録(SOL-LAさんとAc-gorillaさんの交換メール・ログ)は ac-gorilla.pdf (0.39MB) にて)
原図作業
GL-Labo のリンク集にある、永瀬さんのカヌー(http://www.woodencanoe.net/canoe/shop/shop-p.html)の「セバーゴ」の図面で作成しました。
モールド切り出し・フレーム曲げ付け
フレーム立て込み オイルテンパー線発注しました。
ストリンガー(オイルテンパー線1.5mm)を30mmpitで結束
Ac-Gorilla :フェロセメントカヌー、ストリンガー張りに入りました。
金網張り(0.28-20メッシュ)Ac-Gorilla :金網張りの実験してみましたが..
エポキシプライマー塗布
Ac-Gorilla :モルタルの試験練りしました。結果「固まったバタークリーム」のような状態でした。
2液性ウレタンで上塗り(内側は下塗りの状態)
Ac-Gorilla :吹き付け用(現在手持ちのコンプレッサー&ガン)の配合で吹き付け実験してみました。
地元のフェスティバルに急遽出場
SOL-LA:1隻目は何でも苦労しますが、2隻目になると驚くほど手が上がっていてビックリしますよ。
川トンボが飛び、ツバメが川面を掠めて飛ぶ最高のクルーズでした。(このときまでは!)
GL-LaboをWEB上で見つけ、師匠(勝手に呼ばせてもらっています)SOL-LAさんの親切・丁寧なご教授の元、何とかここまで来ました。工作を体験したことと、各種材料の入手方法を確立できたことが一番?財産のようです。
まもなく2艘目に着手する予定です。
Ac-Gorilla さんにとってのバイブル!
SOL-LAさんの著書 「セメント船を造ろう」パワー社発行 ¥1600
ISBN4-8277-2277-3
RANさんのフェロセメント艇」 2002年03月04日 掲載
2002年、1月の画像です。ディンギー制作状況 RAN 2001/12/01 (土) 23:08
ディンギーについてですが、とりあえず帆をはって帆走できる3mのディンギーを自分で設計しました。
簡単に船形を説明しますと、全長3mで最大幅1mです。
フレームはトランサムを含めて6本、間隔は50cmです。
ワイヤーは4mmと1.5mmの硬鋼線を使う予定です。
練習艇ですので艤装は簡単なマスト・セール関係のみになるでしょう。
そして、いきなりですが、現在既にオフセットから原図を木板に書き出して、10mm鉄筋を曲げたフレーム制作までは終わりました。これからセンターとシアーラインの溶接に進みます。
・ディンギーについて RAN 2001/12/01 (土) 23:21
ディンギーのキールについては、クルーザーの模型ではないのですが、ディープキール構造にしてます。船形に対して、キールがかなり深い形にしてあるので、横から加わる力には強いと思います。
・ディンギー制作状況その2 RAN 2001/12/08 (土) 00:49
ディンギーの制作状況ですが、あれからフレームの溶接、ストリンガー張りを終え、ダイアゴナルに取りかかっています。溶接機が故障したり、硬鋼線の納期が遅れたりとかなり時間を取ってしまいました。このあとは、ダイアゴナルを全て張り終えしだい、金網張り、モルタル打ちと進みます。
・8 Jan 2002 22:10:04 +0900
どうも、ご無沙汰しておりました。RANです。少々遅いですが、新年あけましておめでとうございます。3m艇ですが、ダイアゴナル張りに予想以上に手こずり、先日やっと、あらかた張り終えました。
2002/03/03 最新画像
Sun, 3 Mar 2002 19:06:38 +0900
お待たせしました、船の写真が撮れましたので送らせて頂きます。
これを壁に立てかけるとき、バランス崩して思いっきり私の上に倒れてきて非常に恐ろしい目に遭いました。
あと、グラインダーで指削ったり、溶接の光を直視してたり、その他諸々ありますね。
雨が降るなか溶接作業続けたり・・・・・(今、思えば死んでたかもしれませんね)
この船もここまで形になりましたが、何かを作ると言うのは本当に大変で楽しいことだと思います。
モーターボート#235ランナバウト
蔵王さんの自作艇 2002年08月07日 掲載
栃木の 蔵王さんからのレポートです、進水おめでとう!(2002/08/07)
・Thu, 30 Aug 2001 20:09:04 +0900
こんばんわ、栃木の蔵王です。いつぞやは、ニスの件でお世話になりました。我家でもやっとスキャナを購入したので、早速メールで写真を送ります。現在は、見ての通りこのくらいの出来栄えです。また、新しい写真が出来たらメールで送ります。
・Sat, 1 Sep 2001 15:13:44 +0900
こんにちわ、塗料の件は充分勉強になりました。たいへん感謝しています。エンジンですが、15馬力か25馬力か迷っているのです。知り合いに15馬力のエンジンを持っている人が居てとりあえずそのエンジンを借りて走ってみてから決めたいと思っています。出来れば25馬力にしたいと考えています。ちなみに、私の船は横山 晃氏設計の#235の図面で製作しています。
・仮進水式 2001/12/04 (火) 20:12
11月25日の日曜日に利根川にて約3年かかって作りあげた全長4.25㍍幅1.7㍍のモーターボートをとりあえず水に浮かべて、試運転してきました。もっとも、エンジンはまだ購入していないので、家にある2馬力のエンジンで6人乗ってテスト的に運転。結果、大成功です。ちなみに6人の合計体重は、約420キロ+2馬力10キロです。(もう少し余裕がありました450~460キロ位はいけそうです)今回は、とりあえず浮力を一番見たかったのです。したがって、問題は無いと自分なりに思いました。なお、エンジンは、25馬力を取り付けようと思っています。
まだ、もう少し手直しをいなければならないのですが、後は、徐々にやっていきます。
ちょっと困った事が起こり、トランサムをショートエンジン設計したのですが、現在ショートエンジンのステアリング方式は、廃盤になってしまい、仕方なくロングエンジン用にトランサムを作り変えています。
・13 Jan 2002 21:50:31 +0900
現在は、こんな状況ですがま~、のんびりと船作りを楽しんでいるところです。
・24 Apr 2002 20:02:26 +0900(追加情報をいただきました、ありがとう)
現在の船の状況は、↓写真に映っているとおりですが(3月10日)、今は、もう少し進んでいます。
トランサムの部分これを船外機ショート使用からロング使用に変更した写真です。(1月2日)
船内船底のチャインから下の部分をニスおとしをした写真です。(2月10日前後)
ニスをおとしエバデュアを塗りその上にウレタン塗料を塗った写真です。(3月10日)
ついに試運転の日を迎えました~っ! (6月10日)
試運転の水面にボートを運ぶ! 期待と心配が交錯?
浮かんだ! 今回はエンジンの換装だから、浮かぶだけでそれほどの感激はないでしょう‥‥?
走った~~!エンジン半開のテストラン\(^o^)/ 感激!!!
次回、エンジン全開の試験が待ち遠しいっ!
晴れて進水式そして、エンジン全開走行のお披露目です~\(^o^)/
家族と(^_^)
仕上がりもよく観て欲しいです (^_^)
磐梯山に向かって走るRZ号
カエルさんの櫓の自作実験
カエルさんの「櫓の自作実験」 2002年08月07日 掲載
静岡のカエルさんが「櫓の自作実験」をしている様子です。
筆者による櫓の自作実験 こちら もご覧ください。
婆羅さんの7.2mカヌー
婆羅さんの7.2mカヌー 2002年11月22日 掲載
「櫓でカヌーを‥‥」実験レポート
読者の「婆羅さん」からいただいた実験レポートを掲載します。
私も櫓を作りました。
2001年7月ころから 海釣り、素潜り用に、と3.6mのアウトリガー付セーリングカヌーを作っていました。ちょうどその頃インターネットでGL-Laboの土井 厚さんの「櫓の自作実験」を知りました。以前から櫓を作って漕いでみたかった私は「そうだ、このカヌーに櫓をつけよう」と急に思い立ち、カヌーの帆装はおあずけにして、9月から櫓の製作をはじめました。
3.6mアウトリガー付セーリングカヌーに櫓(写真右手)を取り付けたところ。上を歩いたり、寝転んだりできるようにデッキはまっすぐ・まっ平らだけれど、平底、V型、トランサム船型はサバニ。櫓遊びに無中になってしまったため帆装が出来ずまだ未完成。
1作目の櫓(改良後)
櫓の材料としては、試作品なので強度があれば耐久性は必要ないので、櫓腕に39φの軽量薄肉鋼管を、櫓足(ブレード)に30×100×2000mmの杉板を使いました。
腕は先端から1200mmのところでパイプベンダーで 7°の角度に曲げました。1325mmのところに櫓を支持する7φの鉄棒を直角に曲げた金具を溶接してあります。櫓受けとして厚さ3mmの鉄板に13φの穴をあけた金具をカヌーの後ビームにネジ止めします。
私の櫓の特徴の一つはこの櫓の支持方法です。この方法ですと、櫓受けに櫓を装着するのは簡単ですが、櫓が外れることはありません。櫓を逆に動作すれば船を後進させることもできます。櫓は左右に各90°返すことができます(在来の櫓受け、櫓ベソでは90°返すと櫓がはずれてしまう)。また、櫓(ブレード)を90°返した状態(ブレードを垂直に)では櫓を舵としても使えます。
櫓柄は12cmの木片をパイプにボルト止め。腕の先端部は手の当たりが柔らかくなるように木の丸棒を10cmはめこんであります。
Uボルトを外して分解したところ。腕の曲がり角度は7度。
ブレード断面は円弧状で、先端が約200mmR、鉄パイプ接続部あたりで約100mmRです。ブレード中心線と腕の中心線はUボルト止めなのでずらすことができ、右舷漕ぎ、左舷漕ぎどちらにも対応できます。
杉材のブレードは電気カンナで先端部をR200mmくらい、根元をR100mmくらいの円弧状に削りました。揚力効果を期待して(気にして)のことですが、なぜこの R なのかは定かではありません。はっきり言ってよくわからないのです。櫓の断面形状は各地でバラバラのようだし参考資料もないので自分で試行錯誤しながら一番よい形を求めていくしかないようです。
ブレード下面はそのままの平らです。ランダムサンダーでなめらかに研いでから仕上がりに ニスの代わりにシリコンコーキングを塗って布で磨きます。このシリコンの皮膜が水をよくはじいてくれます。
櫓腕とブレードの接続は2本の Uボルトをつかいます。ブレード中心線と腕の中心線は Uボルトをゆるめればずらすことができ、右漕ぎ、左漕ぎどちらにも対応できます。
櫓の全長は3400mm±100(長さ調節可)。櫓の重量は約4Kg.制作費は家にあった材料を使ったので タダ。購入しても三千円くらいでしょう。
製作時間はブレードに2時間、腕に4時間、調整に1時間、計7時間でした。
カヌーには前後のビームに補助デッキを渡してデッキ幅を650mmとし、その上に立って櫓をこいでみました。が、比較的穏やかな焼津沖の海でしたが、こまかくて不規則な揺れがあって立ち漕ぎでは落水しそうなため、立ち膝の格好で漕いでみたけれど,カヌーは右に左に振り回されてスピードがでない。近くの堤防の上を歩く人よりも遅く、1ノットあるかないかの期待はずれの結果でした。しかし、櫓そのものは悪くなく、カヌーと櫓との相性が悪いと思われました。
そこで、次の実験艇として庭の隅に使われなくなって放置されていた ヤマハ シーホッパー(14フィート)を引っ張り出してきて、左舷船尾に櫓受け台を取り付けました。実験場所は御前崎港内。岸壁に沿って430メートルの間を往復。櫓は前回と同じ物で、海況は風浪ほとんどなし、晴れ。
所要時間は13分40秒。平均速力 3.7Km/h, 2ノットが得られました。
この櫓はブレードを改良すればもっと可能性があると思われます。速力の目標を3.5ノットとして、実験はまだ続きます。
実験艇シーホッパーの船尾
↑櫓受け台を後ろから見たところ。
↑櫓受け台を横からみたところ。
櫓の実験(その3)
翼(プロペラ)の揚力効果って櫓にあてはまるのでしょうか?水中の櫓のブレードの動きを見ていて、揚力効果というもの、あまり櫓には関係ないのではないかと思いました。それよりも、徳次郎さんの指摘された櫓の“あおり効果”のほうが大きいのではと考えました。そこで、腰が柔らかくて弾力性のある、揚力効果を無視した平べったい櫓をつくってみました。
試作ブレード 3ミリのベニヤ板を積層成形 長さ2メートル 幅100~150ミリ。
厚さ 先端から3~6~9~12~15ミリの厚さになっていてかなり腰が柔らかく弾力性がある。
シーホッパーに取りつけて漕いでみると魚の尾びれを思わせる。
魚が尾びれで後進できない様にこの櫓も後進ができない。
揚力効果を無視した平らな櫓だけれどスピードが出そうな感じがする。
漕いでいるうちに3ミリの先端部40cmが音もなく折れて脱落。
が、そのまま860mの距離を漕いでみると、2.5ノットの速力がでました。
櫓の実験(その4 カヌー用の櫓)
全長2.5m、櫓腕 0.9m(櫓受けから)、腕は25φの薄肉鋼管で 7°の角度に曲げてある。
ブレードは杉材で、寸法は長さ1.5m、幅10cm、厚さは2~25mmのテーパー状になっていて、揚力効果無視の平らな断面になっている。腕とブレードは2本のUボルトで止める。重さ1.9Kg。
焼津沖の2.7Kmの距離を試走。海況は波浪1m、風力1~2m。往路はムキになって漕いだけれど 47分かかりました。 復路は、少々疲れたのと、手にマメができて痛くなったので、ムキにならず、船のトリムを考え、櫓の角度を30°くらいにしてムダ波をたてないようにして漕いで見ました。所要時間は35分、約2.5ノットの速力が得られました。
この平べったい、弾力のあるブレードの水中の動きを見ていると、やはり、揚力効果よりも徳次郎さんの あおり効果、角度は小さいけれどオールが水をかく効果、さらに魚(イルカ)の尾びれが水をかくような効果などが櫓の推進力に大きく関係しているんではないかと思いました。
櫓の水面との角度は30~35°くらいがよく推力が得られました。角度をさらに大きくして垂直近くなるとブレードの動きはシュナイダープロペラを思わせます。
試作櫓ブレードを並べたところ。 上から 竹の櫓 薄く削った竹の櫓 杉の1号櫓 ベニヤ櫓 カヌー用の櫓。
婆羅さんの「櫓でカヌーを‥‥」実験レポート 続編 (2002/11/22)
3.6mアウトリガー付セーリングカヌーに櫓を取り付けたところ(これらの画像は前のページと重複)。
それがこの様に↓、セイリング・モデルになりました。 ちゃんと櫓が付いているところが嬉しいですね。
アウトリガーカヌーのセイリング・モデル。セイルは工事用ブルーシートで自作。セイル面積 4.8 平方メートル
こちらは別のセイルです 面積 5.3平方メートル
婆羅さんから掲示板にお知らせがありましたが、7.2メートル・カヌーの画像が届きました。
両舷アウトリガーですね、トリマラン・カヌーと言うことになります。
7.2m両舷アウトリガーカヌー
バウはするどく、船体は細長い。メインハルデッキ最大幅 35cm 、喫水線での幅 25cm
この画像は櫓漕ぎモードです。
こちらはセイリング・モード。まだ舵は未完成で、櫓を舵代わりにしています。
バウはフレアー状とし、バウの浮力を15リットルほど稼ぎ、バウが波につっこまないようにしている。
マスト、ブームは辻堂加工のスループディンギーのものを転用。
櫓はプラットフォームの上で漕ぐ。
セールは工事用シート(ブルーシートと同じ)で自作。セール面積 3平方メートル
セール、櫓 等を含めた全装備重量 約115Kg
メインハル容積 約550リットル
フロート容積 約40リットル(片舷)
グレイシール
自作者:ウミサチヒコさん (1997年完成)
GL艇としては最大クラスの小型クルーザー。GL工法も、このくらいの艇になると、迫力です。
(長さ:6.7 メートル 幅:2.3 メートル) 設計:Iain Oughtred
6分の1のグレイシール艇模型、構造の確認、木取りの参考に有効です。何よりも見る人を楽しませてくれる。
まずモールドを並べます。モールドに多数の駒を取り付けているのは、ここでフレームを積層するのです。
フレームの積層作業の様子
ステム(船首)材を積層して作ります
ステムが取り付けられた、シアー(舷側)材も接着準備中だ。
ステムとキールが接続された。これからプランキングが始まる。
最初のプランク(ガーボード)を接着
船台の上でプランキングが終わったところ(塗装前)
塗装が終わり喫水線が鮮やかに現れた
内部仕上げのためにハルをひっくり返す(ターンオーバー)作業。このクラスになるとちょっと大事です。 内部のモールドがよく見える。
慎重にターンオーバーしているところ。 船底部の切り欠き部分には後に鉛のバラストが取り付けられます。
ほぼ正立した、伏せた状態よりかなり大きく感じる!
しっかりと支える。地震と大雨(雪も)はご免こうむりたいところ‥‥。
内部作業も順調!
積もった~っ!厳しい環境だが、エポキシ塗装だから平気です。
アメリカのブロンズメーカーに注文しておいた金具が届いた
ラダー取り付け金具(*ガジョン&*ピントル)のアップ
*ガジョン:ラダー取り付けのためのトランサム(板状の船尾材)側の金具
*ピントル:ラダー取り付けヒンジ部分のラダー側のピン
遂にバラストを取り付ける作業を残して船体が完成! いよいよ生まれ故郷を後にして、水際に引っ越すことになりました。優雅なクリンカーの船体を、こう言うアングルから眺めるチャンスは希です。
海辺の作業場で、補助エンジンとバラストを搭載して、いよいよ進水式を迎えた!焦らずに、船底の最終点検を行う。
進水式だっ!華やかに、シャンペンセレモニー (^-^)
嬉しさと緊張の初航海
リギング(帆装)も終えた!初セイリングだ~っ!
母港に戻って、繋留します。お供のテンダー(足船)も可愛いです。
このリグ(帆装形式)は「ガンターリグ」と言うものです。リーフ(縮帆)した時に、メインセール全体が下がってきて、合理的です。
2002年10月に悲劇は起きた!
台風21号がマリーナを夜半に直撃、マストが倒壊しこのマストが桟橋のクリートに食い込んでハルを突き破って海水が浸水し、あえなく製作期間5年を費やした愛艇「アスタマニャーナ」は沈没した。
「アスタマニャーナ」大破沈没から奇跡の復活まで
自作者:ウミサチヒコさんのレポート (2005/12/21 新刊)
平成14年(2002年)10月1日に千葉県沿岸に上陸した台風21号がマリーナを夜半に直撃した。
最大瞬間風速52メートルに加えて、運悪く満潮時と重なったため高波、高潮にもあおられて、まず浮き桟橋が破壊された。
その後マストが倒壊し、桟橋のクリートに食い込んでしまったためハル(船体)を突き破って海水が浸水した。
製作期間5年を費やした愛艇「アスタマニャーナ」はあえなく沈没した。これが沈没現場だ!
船は水深4メートルの海底、ドッグハウスの天蓋部分だけが浮いていた。クリートに絡んだマストが船体を突き破ったのだ。
ドッグハウスの天蓋を乗せ固定し、新しく製作したオープニングハッチを取付けた。 次は化粧直し(再塗装)だ。
化粧直しの手順は‥‥
1、ハル外壁の喫水線より上部ニス仕上げ部分は下塗りのエポキシ層はベルトサンダーで全て木肌が傷まないよう慎重に削り取る。この作業は修復の中で最もハードな気を使うやりたくない作業だ。
2、次はエポキシ、サンデイングシーラー、ウレタンニスをそれぞれ2ないし3回塗装。
3、ウオターライン(喫水線)を慎重に決めて塗装
4、フジツボを取り洗浄した喫水線下には自己研磨船底塗料を塗装。
テイラーは回収出来たがラダ-はピントルとガジョンごと流失してしまったので、新たに製作した。ピントル、ガジョンは当初発注したアメリカの鋳物屋は既に製造中止しており、米国内で見つからなかった。 しかし英国で探した、クラシックマリンという船具屋で特注できた。
8カ月に及ぶ修復作業で自宅作業場での作業は完了。
お釈迦になったエンジン、電装を外注に出す為業者の工場に向けて陸送。
キャビン内部(だった空間)から後部を見る。
10日後に引き揚げられた愛艇を見て絶句した。
損傷があまりにもひどかったので、もう焼却して荼毘に付し鎮魂しようと何度も考えたが、どうしても出来なかった。
かといって修復する気力が沸かなかったので、とりあえず我家の庭に運んだ。
同じく船首方向を見る。
修復の気力が無いまま2年の歳月が流れていったが、2004年の9月になって突然、もう一度この愛艇で海に出たいと思うようになった。
修復の前に損傷の状況をまとめてみると。
1、左舷の外板が上から3枚目まで自艇マストの衝突により破れた。
2、キャビンはドッグハウス天蓋がかろうじて浮かんでいた以外は装備品、積載物は全て流失行方不明。オープニングハッチも流失不明。
3、ラダー及びピントル&ガジョンは流失不明。
4、幸いメインセール及びガフは取り外していた為無事。ジブセール及びジブファーラーは要修理。
船首部左舷の破損状況、被害は甚大だが致命的ではないと思うべきか?
5、デッキは数箇所で破壊。
後部デッキ(これはすでに下地材が貼られている補修段階の画像です)。
修復開始するため、まずマリン合板を調達するためネットで検索した結果、国内で名古屋のミヨシコーポレーションがオランダのブロンジール社の製品を扱っていることが解った。
オクメ(ガブーン)13ミリ厚、5ミリ厚 4X8サイズを各1枚と、サペリ(アフリカマホガニー)5ミリ厚(4X8)を1枚購入して修復に備えた。
ハル外板3枚目の補修作業、GL構造の船体は外板面積が比較的小さい。
しかし、外板の追加は新艇を建造する以上に繊細な作業だろう。
こちらは2枚目だ、補修の面積が大きくなってきた (^^;)
もう1枚、最後のシアストレークを加えれば外板は終了だ。
次はデッキの修復だ。
損傷箇所は左フォア(前部)、左サイド、右アフト(後部)、右サイド。
デッキは5ミリのマリン合板の下地材の上に7ミリのチークバテン(細木)を張り合わせた構造なので、修復範囲を最小限にして時間と材料を減らすため、下地材が無いかダメージを受けているところのみを接合して修復した。もちろん失われたビーム(建築では垂木に該当)も復元した上でだ。
ホームポートにてマストを立て、儀装を終え ポンツーンに3年ぶりに浮かんだ勇姿。 感激ひとしお。