【造る】GL工法でつくるヨット
GL工法によりさまざまなヨットを自作することができます。
ラウンドボトム(丸底)艇として、歴史的小型レース艇「A級ディンギー(12feet)」、GL-Laboオリジナルスループ艇「AD艇(13feet)」、GL工法最大級のクルーザー艇「グレイシール(22feet)」、合板とエポキシを使用するフラットボトム(平底)艇「シェルバック(11feet)」をご紹介します。GL工法でヨットの自作を考える際の、艇のイメージづくりの参考にしてください。
A級ディンギーのご紹介
A級ディンギーとは、英国人Cockshott氏が1912年に設計した外板クリンカー張りの木造小型12フィート・ディンギーのことで、日本では中年以上のヨットマンのほとんどが学生時代にお世話になった歴史的小型レース艇です。
船台の上にモールドフレーム(型枠)を立てて並べ、細い角材を通してあてがって、実際の外板の割り振りを確認しているところ。このあとステム(船首材:積層)、キール(単材)とトランサム(合板)を取り付ける。
取り付けたキール部分から外板を張り始める(プランキング)。 後にキールは完成した船殻ハルとともに、モールドから分離する。
このA級ディンギーでは、外板を片側12枚張り重ねる、独特の クランプ(万力)を多数自作して固定、接着している。 市販の合板は寸法が足りないのでスカーフして必要な長さにします。
内部の工作:新世代のGL工法だが、外見上は昔ながらの構造と変わらない。船底中央から出ているのがセンターボードケース、左右に渡されているのがスォート。
97年初夏1号艇、博多湾にてデビュー進水、ハルのクリンカーのラインの美しさが陽光に栄える。
冬の博多湾の冷風をものともせず、新艇による練習と調整が行われた。自分で造った艇は、どんなときでも信頼できるし、改良すべき点はすぐに直せる。
98年夏、前年に続いて改良型の2号艇が博多湾で進水した。進水式当日から豪快な帆走を披露した。
博多湾での1号艇(後方)と2号艇(手前)、博多美人姉妹のテスト帆走風景、レースが迫っているので、調整と練習に明け暮れる。
クラシックで、居心地の良さそうな艇内部。木造艇の感触は‥‥暖かくて、心が安まる気がする。
98年夏函館湾、2号艇ははるばる福岡から遠征し、公式戦に初登場し、堂々の準優勝!ヨット雑誌「KAZI」1997年10月、11月号にも詳しく掲載されています、ご覧ください。
博多湾から函館湾への遠征には、独特のカートップ装置が活躍。この装置でシングルハンド(大人ひとり)で手軽にカートップすることが可能になります。
おすすめページ:自作艇・パーツのご紹介:A級ディンギー
オリジナルスループ・AD艇のご紹介
13フィート(約3.9メートル)のオリジナル・スループ艇。帆走だけでなく手漕ぎボート (ローボート)としても使えるので、釣り、海水浴、ダイビングなど広い用途で楽しむことができます。この他に10フィート、11フィート、12フィート各バージョンあり。
まず平らな地面(など)に船台を置きその上に型(モールド)を組みます。この写真の方法では、モールドは船体*ハルを造るための純粋の型となります(あとで外します)。
モールドの上にキールなど、のちに本当の船体になる材料を止めて(接着しません)から、外板を切り出して順番に貼っていく(プランキング)。
外板を貼り終えたら、型から外し(モールドアウト)て、表向きに置きなおします。 ここまでの作業は裏返しの状態の方が容易なのです。表向きに置くと安定しないので、左に見えるような台(クレイドル:モールドを切り出した残り板で造る)に移します。
クレイドル上に平らに置いたら、デッキを張る前の内装にかかります。内装工事は結構細かい作業で骨が折れますが、完成したら手の届かないところも出てくるので、地道に仕上げます。
デッキを張って、船体完成! この艇はデッキのあるタイプですが、「A級ディンギー」などのようなオープンボート(デッキのないボート)にする事も可能です。
進水準備完了! この艇は*スループと呼ばれるタイプです。 マストが2本で構成されているのも特徴で、この形式は*ガンターリグと呼ばれます。マストなどが短いので、収納や(カートップなど)運搬にとても便利です。
相模湾を快走するAD艇
帆走だけでなく手漕ぎボート(ローボート)としても使えるので、釣り、海水浴、スキンダイビングなど広い用途で楽しむことができます。カートップでどこの海岸にも運搬できるのは嬉しいことです。
おすすめページ:GL工法でつくるAD艇建造記録へ
グレイシールのご紹介
GL艇としては最大クラスの小型クルーザー。 (長さ:6.7 メートル 幅:2.3 メートル) 設計:Iain Oughtred
モールドを並べます
フレームの積層作業
最初のプランク(ガーボード)を接着
船台の上でプランキングが終わったところ(塗装前)
塗装が終わり喫水線が鮮やかに現れた
内部仕上げのためにハルをひっくり返す(ターンオーバー)作業。このクラスになるとちょっと大事です。 内部のモールドがよく見える。
ほぼ正立した、伏せた状態よりかなり大きく感じる!
デッキ・キャビンの内部作業
補助エンジンとバラストを搭載、船底の最終点検
進水式
リギング(帆装)も終えた!初セイリングだ~っ!
おすすめページ:自作艇・パーツのご紹介:グレイシールの建造
シェルバックのご紹介
ハンサムで工作が容易なフラットボトム(平底)艇、「シェルバック」制作。 キットを購入して建造する事もできる。長さ3.4メートル、幅1.35メートル、キャットリグ艇、設計:Joel White
写真は1998年の夏に進水した艇
底板から数えて2枚目のプランキング作業。エポキシ接着剤を塗付して仮釘でプランクの継ぎ目を固定し、さらに内側からツッカイ棒をし、外側からは鉄パイプの重石で押さえつけています。
片側3枚の外板貼りが終わったところ。ここまで来ると俄然フネらしくなる、眺めているだけで満足!
モールドを取り外す直前、艇の内側を見る。「あっ?フネだ!フネだ~っ!」ご近所の皆さんにも、今までの電動工具の騒音の正体が明かされます。冷ややかな視線が尊敬の眼差しに変わるかも‥‥?
モールドから外して眺める(右はモールド)。アッと言う間の出来事で、外す決定的瞬間(シャッターチャンス)を逃してしまった!無念!
防舷材と船首補強材を取り付けるところ。マホガニー材の2枚板に8mmボルトを埋め込み強度を増しました。
もう浮かべることができそう、春が待ち遠しい。特徴のある湾曲した積層ステム(船首材)にはマホガニー材を使っています。
内部にスォート(左右に渡る支え板、腰掛けやマストの支えの役目も果たす)を3カ所設置した。
さらに舷側にガンネル材を接着して補強しているところ。
バウを内側から見る。ここでは小型艇とは思えない力強さが感じられる。
これは舟底に取り付けられる「ダガーボードケース」です。その上には取り付け前のスォートが見えている、接合部分の溝にご注目。
ダガーボード・ケースの上にスォートが取り付けられた。マストも立った、進水間近!
後部から眺める。ラダーとティラー(舵柄)も完成
ついに進水だ~っ!完成を信じていなかった?家族を乗せてのセイリングは‥‥
嬉しい & ちょっと照れ臭い。
あなたも如何?
おすすめページ:自作の艇・パーツのご紹介